紹介  Fate/stay/night


このゲームに関してはインターネット上の多くの尊敬する先達の方々によって感想が書かれているので、
今更私ごときがあらすじを述べるまでもありません。
よって、誤解を恐れず後先も考えずに紹介を書く事にします。

<注>
私はシナリオライターの奈須きのこ殿の信奉者にされてしまった身なので、
冷静にこの作品と向き合う事ができません。
世迷言を許容できる寛容を持っている自信のある方以外は不快に感じるかもしれませんが、
ご了承下さい。


<少年漫画?>

「Fate」は通常の映画よりも10倍はインパクトのある少年漫画(のようなもの)です。

まず基本的な展開、「世界中の英霊を召還して戦わせる」。








↑英霊達です(アイコン提供、「眠りの園」様)



この時点で少年漫画的なのですが話が展開する中で…


立ち塞がる強敵

命を賭けた試練、

絶対に乗り越えられない絶望状況

必殺技の開眼

勝利

更なる強敵…


…といった少年漫画の魂というべき要素を

巧みなエフェクトで魂に訴えかける程の表現に昇華させております。

他にも
・魅力を上げればキリが無いほどの膨大な情報量を誇る設定群
・信奉者にさせる特徴あるテキスト

などなど

ある意味直球ど真ん中なエンターテイメントといえるものでしょう。





<必殺技の名前は叫ぶもの!?>

多少無理のある設定をつけてでも必殺技の名前を叫ぶのが少年漫画のたしなみ(?)。

全く関係のない作品の例を挙げてみますと…。



PS用ソフト・スーパーロボット大戦F付属ドラマCD『出撃、グルンガスト!』より


「このスーパーロボットは現段階では未調整ですが、
音声自動攻撃システムを使えば…つまり、武器の名前を叫べば使えるはずです!」

「ファイナルビィィィィーム!!」
(ここは「ム」にアクセント必須!)



こういうノリで『Fate』でも叫ぶための設定があります

「伝説を再現する真の力を解放するには真の名を叫ばなければならない」







  「刺し穿つゲイ――――――」




















「――――――死棘の槍ボルグ!!」








(画像はアニメ版のもの、06/02/22現在、放送中)



嘘つけ!貴方達本当は叫びたいだけでしょう!?


少年漫画の伝統、当て字読みはまだいいとして

「ゲイ」と「ボルグ」の間にわざわざ"溜め"を用意してやがります!

上記の「ビーム」の「ム」にアクセントをつけるより悪質ですよこの槍兵!

しかしこの要素、ただ単に「必殺技の名を叫ぶ」ための言い訳に留まらず。

「必殺技を乱発させない」
「必殺技によって今まで謎だった英霊の正体が判明する」
という流れも作り出しているあたり、上手いです。



<戦いや事件を通しての成長と生き様の再認識>

メインテーマといえばこれですね。

奈須きのこ殿の作品に共通する事ですが、便宜上は敵と呼ばれる存在やサブキャラクターと呼ばれる、
通常なら枝葉とされる人格にまで意志と魅力を感じさせています。
ガンダムWでも同じような主題・キャラクターを有していましたが、
深さのレベルは違いすぎて比較対照にすら考えつかないほどです。





<単純明快に表現すると…>


このゲームに邪念は無用!

バトルに燃えろ!

悪に怒れ!

ピンチにハラハラしろ!

同志(とも)の想いに涙しろ!

勝利に喜べ!

生き様に震えろ!










これより先は<プレイ動機>・<プレイ中の心境>など私的な体験となり、紹介ではありません。
好奇心旺盛な人、管理人・園樹のFate/stay/nightに対する思い入れを知りたい人のみどうぞ。


<プレイ動機>

もともとは2003年9月に気紛れで「月箱」という同人ゲームを購入したのが始まりでした。

当時、インターネット上で有名になっていたので2500円というお手軽な値段で三つのCDを体験できるならもうけもの…という軽い気持ちで購入したら…




ものの見事に壊されました。

文章を書いている人は奈須きのこという方なのですが、この人の文章がとてつもなく私の好みにあってしまっていたのです。少なくとも四倍の値段を支払う価値はありました。

(ちなみに今は捨て値でさばいても四倍の一万円で売れてしまいます。未開封なら二万円ぐらいしてしまいます)
…というわけで私はシナリオライター奈須きのこ殿の信奉者にされてしまいました。

それから半年Type-Moon商業化の最初の作品「Fate/stay/night」です。
実は、同人から商業化した際に質が下がった例はいくつもあり、あまり期待してはいませんでした。

「月箱」で充分すぎるほどの感銘を受けた恩返しの投資の意味も含めて、初回限定版を購入しました。

「月箱」と「Fate」。両方あわせて12500円、「月箱」は10000円払う価値があるほど楽しめたのでたとえFateが期待はずれでも損はないと思った故の購入でした。





<プレイ時>

困った事に当時、私は厄介な病気にかかり、入院していました。

流動食しか食べられず、栄養分の大半を点滴に依存し、

一日の大半を腹痛に苦しみながら寝て過ごしていた私の精神状態は刺激に飢えていて異常でしたが…。















自分自身に恨まれても、罪によって砕かれようと、









それだけは―――――






















「―――決して、間違いなんかじゃないんだから……!」






自らの理想を賭けて

未来からの最終通告をも弾きとばし

理想の自分を打ち倒すその覚悟に

涙で前が見えなくなり!

もう泣きたくなるほどにかっこよくて、切ない!







ぶち壊されました…冗談抜きで…。


病室で、泣きました。


もう看護婦さんの目も気にせず10回は泣きました。


退屈極まりない入院生活にこの上ない刺激を与えてくれた奈須きのこ殿には感謝の至り。

Fate/stay/nightは確実に、今まで経験した中で最高のゲームです。



<『異常な描写』に惹かれた私>

奈須きのこ殿の文章は人を選び、合わない人からすれば「描写が異様な無駄に長い」文章ですが、上記のような人物・膨大な設定を最大限に利用するための技能を駆使した結果だと受け止めています。

およそある人の文章を読むという行為は、筆者の有機的な「場」というべきものに適応し、内的な力の法則性のようなものを体得して初めて感銘を受けるものです。

何の因果か、私はこの適応能力を奈須きのこ殿の「月姫」に出会う前に体得してしまっていたらしいのです。

私にとって『奈須きのこ殿の文章を読む』という行為は『深淵の世界を覗き込む』と表現されるモノなので心地よい緊張感と悦びを禁じ得ません。

あと、奈須きのこ殿の作品の主役級の人物達には『手に入りそうにない何か』への渇望があり続けるという事も私をひきつけてやみません。

私が出会えてよかったエンターテイメントの先頭に置く理由がここにあります。

ちなみに、お祭りディスクは予約してしまいました…。




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